陳水扁総統は元旦祝辞のなかで、「経済第一」「構造改革」「平和安定の両岸構造確立」を重点政策として明示した。間違いなくこれらはわが国が直面している試練であり、不可避の問題である。

 

 近年、国際政治と経済は急激に変化しており、さらに中国の要素も加わり、わが国の生存と発展に新たな問題をもたらしている。わが国を虎視眈々と狙っている中国は、わが国内部の問題に狙いをつけ、武力による威嚇を強めると同時に、経済による統一戦線工作を強化し、与野党ならびに国民の国家に対するアイデンティティーを分断させようとしている。

 

 この状況に与野党は冷静に対処し、深謀遠慮をもって台湾の将来を考えるべきである。だが残念ながら、与野党は共に対立を繰り返しているのが現状だ。その結果、経済政策、構造改革、国家へのアイデンティティーに対する考えの相違がますます深まっている。こうした状況は、台湾にとって百害あって一利もないものである。

 

 ところが野党は中国への投資の大幅開放と三通の積極的開放を主張し、経済当局もこれに同調して資金の海外移転を奨励し、国内産業の振興への資金振り向けを怠り、台湾経済再生を遠のかせてしまった。中国への投資を主張する者はいわゆる経済の「グローバル化」を根拠にしている。だがそれは自国経済の問題点を省みず、グローバル化を妄信しているにすぎない。産業と資本の一方的な中国移転は単なる「中国化」であって、「グローバル化」ではない。国内経済の問題点は十数年来の積弊によるものであり、ここで「中国化」を「グローバル化」にすり替え、企業や個人の無秩序な対中国投資を喧伝したのでは、台湾経済の空洞化を進めるばかりである。台湾が経済の自主性を喪失し、中国に生死を握られるところとなったなら、台湾はどうなるだろうか。まさか対中開放を主張する人々は、それを望んでいるわけではあるまい。

 

 今やらねばならないことは明白である。まず国内経済構造を改革し、競争力を高める以外にない。目を外よりも内に向けることだ。そうしてこそ、両岸関係にも有利な状況が創出できるのである。

 

 さらに中国は目下、表面上は繁栄しているが、内部には深刻な問題を抱えており、台湾経済の希望の拠り所などではない。まして三通が台湾を救い、企業は中国に進出しなければ倒産するというわけでは決してない。それは逆であって、台湾の未来は台湾経済の自主能力にこそかかっているのであって、さらに民主と法治の強化にこそあるのだ。民主の台湾と専制の中国との間にあって、これこそ台湾にとっての最大の安全弁となるのである。陳水扁総統が「国民の力を結集し、経済第一に全力を傾注し、構造改革を推進する」と表明した意味はここにある。

 

 過去二年余、与野党ともに両岸問題で対立を繰り返し、産業の萎縮、経済の停滞、失業率の増加といった国内問題に心血を注ぐことはなかった。与野党は陳水扁総統の「経済第一」政策貫徹の表明を契機に、両岸問題は冷静に対処するようにしなければならない。そうしなければ、産業は中国に握られ、国家のアイデンティティーは危機に瀕し、台湾は本当に国家として世界地図の中から消えてしまうことになろう。 

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